仮面 [詩・画]
強がりの仮面の下
崩れ落ちそうな
危うい表情を隠して
さいごのその時まで
仮面を付けて
消えてしまった人
あの日
あの時
あの瞬間
人は皆 弱いのだと
嫌というほど
思い知らされた
知らない訳じゃない
解らない訳でもない
それでも
仮面を外すことが
出来ない人もいる
貴女は大丈夫
独りでも平気だから
そう言われて
拠り所すら失くして
がむしゃらに生きて
選択肢など
選べるわけもなく
ただ目の前の道のみ
理解できない事
理解されない事
どちらも同じくらいに
ときどき
とてつもなく
虚しくなるのだね…
(C) 2016 Naho Yuuki All right reserved
朝霧 [詩・画]
変えたくなかった
変わりたくなかった
何も知らない瞳で
世界を見ていたかった
道を辿る
振り返りながら
少しずつ
記憶を巻き戻して
白にも近い
空気を纏ったその人の
その背中を
目線だけで追って
この手を伸ばして
その腕を掴んで
刹那の時に
身を委ねてみる
流れて行く時の中
景色は変わってゆき
あの時の私は
もう そこに居ない
変わったのは
自然なことで
変わらなければ
生きて行けなかった
世界は未だ孤独の中
生きているだけで
生きているからこそ
この世界は
素晴らしいのだと
乗り越えた先に
見ゆる場所があると
教えてくれたきみは
一人少し先にいる
夜明け立ち昇る朝霧
足元の見えない中
ゆっくりと歩を進め
追いつきたくて
追いつけなくて
不安を隠しきれない
いつになったら
きみに近づけるのかと
震える手を 握り締めた
(C) 2016 Naho Yuuki All right reserved