不足 [詩・画]
いつも何かが足らないんだ
勝手な思い込みだけで
自分のことしか見ていないから
だからときどき焦るの
このままじゃいけないって
でもまた いつもの繰り返し
同じ24時間なのに
私の時間は少しゆっくりで
なかなか物事が終わらない
なかなか先に進まないの
今日も何かが足らないんだ
足らない事に気付けていても
何が足らないかが分からない
肝心な事に気付けないまま
時間だけが過ぎて行く
(C) 2016 Naho Yūki All right reserved
言の葉 [詩・画]
貴女に逢いたいと
まっすぐな言葉
素直になれず
サラリ かわしたのは
行き場の無い
気恥ずかしさのせい
黄金色に積もる
落ち葉の中
言の葉たちが
隠れんぼしている
風に舞いながら
見え隠れしている
その言の葉を
もう一度 聞かせて
貴方と同じ気持ちと
伝えたいから
(C) 2016 Naho Yūki All right reserved
仮面 [詩・画]
強がりの仮面の下
崩れ落ちそうな
危うい表情を隠して
さいごのその時まで
仮面を付けて
消えてしまった人
あの日
あの時
あの瞬間
人は皆 弱いのだと
嫌というほど
思い知らされた
知らない訳じゃない
解らない訳でもない
それでも
仮面を外すことが
出来ない人もいる
貴女は大丈夫
独りでも平気だから
そう言われて
拠り所すら失くして
がむしゃらに生きて
選択肢など
選べるわけもなく
ただ目の前の道のみ
理解できない事
理解されない事
どちらも同じくらいに
ときどき
とてつもなく
虚しくなるのだね…
(C) 2016 Naho Yuuki All right reserved
朝霧 [詩・画]
変えたくなかった
変わりたくなかった
何も知らない瞳で
世界を見ていたかった
道を辿る
振り返りながら
少しずつ
記憶を巻き戻して
白にも近い
空気を纏ったその人の
その背中を
目線だけで追って
この手を伸ばして
その腕を掴んで
刹那の時に
身を委ねてみる
流れて行く時の中
景色は変わってゆき
あの時の私は
もう そこに居ない
変わったのは
自然なことで
変わらなければ
生きて行けなかった
世界は未だ孤独の中
生きているだけで
生きているからこそ
この世界は
素晴らしいのだと
乗り越えた先に
見ゆる場所があると
教えてくれたきみは
一人少し先にいる
夜明け立ち昇る朝霧
足元の見えない中
ゆっくりと歩を進め
追いつきたくて
追いつけなくて
不安を隠しきれない
いつになったら
きみに近づけるのかと
震える手を 握り締めた
(C) 2016 Naho Yuuki All right reserved
home [詩・画]
迷う事なんてない
道は一つだから
立ち止まるのは
先の見えない不安と
ひとりで歩く怖さと
背負う荷物の重さに
息切れしているだけ
この道の先には きっと
笑顔になれる景色があるよね
どんなに望んでも
叶わない夢が
夢で終わったとしても
辛い時を超えた先に
優しい時間がきっと
そこにあると信じている
ただいま
おかえり
それは温かで
幸せなこと
ささやかだけど
贅沢なこと
辿り着いた先に
みんなの笑顔があればいい
私も笑顔になれる
幸せになれるから
(C) 2016 Naho Yuuki All right reserved
journey [詩・画]
夢の中のように
うっすらとした記憶
広がる景色の
その向こう側の
理想郷
雲のように
流されてゆけば
いつか
辿りつけますか
無にも近い
白の世界に
このまま
何にも縛られずに
心のままに
ただひとりで
向かってゆくことを
あなたは
許してくれますか
(C) 2016 Naho Yuuki All right reserved
小旅行 [詩・画]
好きだから
傍にいてと思う
大切だから
自由でいてと思う
気持ちがすれ違い
上手く伝えられない時
ふっと思うのよ
ほんの一瞬
ガラス越しでもいいから
キスして欲しいって
触れあった 刹那の時に
永久の時を思う
お願い 離さないでいて
本当はそう
伝えたいけれど
叶わない想いひとつ
鞄にぎゅっと詰め込んで
今から 少し旅に出よう
行き先は そう
心の赴くままに
あの光に溶けて行こう
(C) 2016 Naho Yuuki All right reserved
紡ぐ [詩・画]
「最期は皆 ひとり」
あなたはそう言った
私には言葉が無い
背負ってきた物が
大きすぎたこと
知っているから
胸が苦しくなった
でもきっと覚悟があるから
静かに ひたむきに
生きて行けるのだね
たくさんの愛情を貰って
いつか
それが離れてゆく時に
不安や悲しみを覚えても
誰かに想って貰っていた
その事実に感謝して
少しずつ紡いでゆこう
次は私が誰かを想い
愛して行けば良いのだと
そして愛した人たちが
幸せでいてくれれば…
そうして想いはずっと
繋がってゆくのだね
ひとりは独りじゃないから
寂しい事じゃない
そう気付いたよ
(C) 2016 Naho Yuuki All right reserved
歩 [詩・画]
生きることに懸命だった
過去は
ただ苦しくて 仕方なかった
今はただ
波間に浮かぶ身体で
水面下の音を聞く
今を生きることが
この先を生きること
だから
青い空の 真白な雲は
もう掴めそうになくて
あの頃は 二度と戻らない
沈みゆく時の中で
そっと呟いた
叶わない現実を受け入れ
やるせない気持ちをいなして
諦めの気持ちで
この先を過ごすことが
空しさの海を 渡りきる術なのだろうか
そう自分に問いかけて
涙を流すのは何故?
きっとまだ 僕の本当の心は
諦めていないのだ
この想いを大空に掲げて 生きてゆく事を
たとえそれが苦しい道を
歩み続ける事だったとしても
(C) 2016 Naho Yuuki All right reserved